よくある質問
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◆牛乳について
◇牛乳は好きなのですが、最近、『牛乳は体に良くない。』 『牛乳は飲むな。』という本をよく見かけます。
本当のところはどうなのでしょうか?
◇夏、牛乳の上に脂肪の塊ができています。慣れないのでとても気になります。
どうにかならないでしょうか。
◇冬は夏に比べて牛さんの乳量が落ちると聞きました。
冬は牛乳が足りるのでしょうか?
◇低温殺菌63℃で30分間という方法は、非常に難しいと聞きました。
正しく管理されているのでしょうか。
◆牛さんについて
◇斉藤牧場では牛が妊娠中であっても搾乳するのでしょうか?
妊娠中でも搾乳することがあると、先日ある方から聞きました。
妊娠中に乳を出すのは自然界ではあり得ないことだと思うのですが、
どうなのでしょうか。
◇牛さんは草食動物で、本来は草を食べることがよく、
トウモロコシ等の穀物飼料は牛さんの体には負担になることは、
こちらのサイトでよく分かりました。
草以外にはなにも食べないのでしょうか?
◆自然放牧について
◇斉藤牧場のように山に牛さんを放ち、そこにある草で牛さんを育て、
土や山が守られるという方法はとてもいいと思います。
なぜ広まらないのでしょうか?
◇今日本で自然放牧を行い牛乳を製造している牧場はどのくらいあるのですか?
◆価格について
◇スーパーの牛乳は1本約200円(1リットル)です。
1本630円(720ミリリットル)は高すぎませんか?
(旭川市とその近郊の配達可能地域は480~530円です。)
◆牛乳について
牛乳は好きなのですが、最近、『牛乳は体に良くない。』 『牛乳は飲むな。』という本をよく見かけます。本当のところはどうなのでしょうか。
斉藤牧場応援事務センターでは大きくは下記の3つのように考えています。
1) ご自分へのご褒美として、是非お召し上がりください。
日本人が数千年来食べてきた食べ物は、お米、雑穀、野菜、海草、小魚です。
温暖で周囲を海に囲まれた自然豊かな日本では、これらの食べ物で十分間に合うものとも考えられます。
牛乳は、飛鳥時代に、「牛乳文化」として日本に入ってきました。
朝廷や貴族だけが飲む、最上級品であったと伝えられています。
本語の仏教用語に、『醍醐味』という言葉があります。
この「醍醐」は、「牛や羊の乳を精製した、濃厚で最上の味を持つ乳製品」という意味です。
今ではお水よりも安く売られることもある牛乳ですが、古来の日本では贅沢品でした。
また海外では牛を「神様」、牛乳を「幼い命を危険から守り育てるため数多くの安全機能が備わっている食品」、そして牛乳とはちみつは、「神様がすでに調理した最高の栄養食品」として大切に扱っている国が多くあります。
下記 2)でも触れさせていただきますが、たまに、ご自分へのご褒美として、本物の質の良い安全な牛乳を、是非栄養補助食品として飲んでいただければと考えています。
(個人的なご意見ではありますが、斉藤牧場の牛乳を飲み、「便通が良くなった」「弱った体が元気になってきた」というお声をいただいています。)
2) 牛乳は、本来工場で大量生産できるものではありません。
牛乳は牛さんがいて、酪農家が一年間、毎日1日も休まず世話をしてはじめて世に生み出される、大変貴重なものです。
そこには生き物の「命」が介在しており、本来工場で計算どおりに大量生産できるものではありません。
現代では大量の乳を出すためにとうもろこし等の穀物を食べている牛さんが多い現状ですが、牛は本来「草食動物」です。
どんな草でも食べ、本来は草さえあれば生息できる動物です。草の中でも特に筋が多く入った繊維質の多い牧草を好みます。
それらを体内で「たんぱく質」に変えてくれることができます。
農業を行うには厳しい山地や寒い土地では牛乳は貴重なたんぱく源となるほか、牛さんは荒れた山々を素晴らしい牧草地に変えてくれることができます。
日本は国土の7割が山地です。
その中でも斉藤牧場のように、農業をするには厳しい山地では、牛さんの力と山々の力で、健康で安全な自然の循環が成り立つ素晴らしい山地放牧酪農ができます。
日本の厳しい山地で生産できる「草」の量、そしてそれらを食べる牛さんが出せる乳量は、それほど多くありません。
是非それらを目安にし、本来人がいただける量を参考にしていただければと思います。
3) 牛乳の高温殺菌の問題
今の日本では、9割以上の牛乳が、120℃以上の高温で殺菌されています。
水の沸点100℃以上の熱で何分間も煮込まれるため、たんぱく質が熱変性を起こしてしまうほか、ビタミンや味や香りが大きく失われてしまいます。
(120℃以上の加熱というのは最後の加熱のことで、実際には「85℃で5分程度 予備加熱され」→「110℃で約1分加熱が続き」→「最後に120~140℃で約2~3秒加熱」されている場合が多いです。)
たんぱく質は、加熱で壊れやすく、高温で殺菌すると熱変性を起こしてしまうと言われています。この変性してしまったたんぱく質が、最も体によくない原因の一つと言われています。
牛乳の加熱法には「国際基準」があり、海外では、有害菌のみを殺し有益菌は殺さない、「低温殺菌方法」(63℃で30分間殺菌)が主流です。
日本で一般的なこの高温殺菌方法による牛乳は、海外では長期保存を目的とした「缶詰」の仲間となっており、非常時にだけ飲むもので、生きた牛乳とはなっていません。
日本でも昭和30年代までは、「低温殺菌方法」がとられていました。
その後様々な出来事があり、また大量生産を可能にする必要が出てきたために、ほとんどの牛乳が今の殺菌方法となってしまったようです。
牛乳を心から愛している方々からは、
『本物の牛乳をもっとよく知っていただきたい。高温殺菌されていること等の議論もなく、牛乳を一方的に悪い、と評価する風潮には疑問を感じます。』
という声があがっています。
<参考書籍>
〇「美味しんぼ10巻」
第7話「牛乳ぎらい」で高温殺菌の問題について取り上げ ています。
是非ご一読ください。
〇「幸せな牛からおいしい牛乳」
(自然放牧酪農家 中洞正著)
〇「本物の牛乳は日本人に合う」
(小寺とき著)
夏、牛乳の上に脂肪の塊ができています。慣れないのでとても気になります。
どうにかならないでしょうか。
この分離ラインを、「クリームライン」といいます。
このクリームラインが正しく浮かぶ牛乳こそが、本来牛乳に含まれている貴重なたんぱく質が、熱処理に破壊されずそのまま残っている、という証(あかし)となっています。
本来牛乳に含まれる脂肪球を砕いて均一化していないため(脂肪球を砕いて均一化することを「ホモジナイズ」するといいます。)、栄養分がそのまま残っています。
夏、牛乳自体はあっさりと飲みやすくなりますが、分離がはっきりとし、このクリームラインがはっきりと出てきます。
お気になられるようでしたら、上の部分をすくっていただき生クリームとしてご利用いただくか、またはシェイクしてバターにしていただき、パン等に塗ってお楽しみいただければ幸いです。(極上の味がするというお声をいただいています。)
強く振っていただくと、塊がなくなる場合もあります。
また、下の方は低脂肪乳、上部は特濃牛乳となり深みが増していますので、ご家族のご年齢等にあわせて飲み分けてお楽しみいただければ幸いです。
通常販売されている牛乳は「脂肪球」を砕いて壊し、均一化し高温殺菌しているため塊は存在しませんが、その代わり、牛乳の本来の自然の姿ではないほか、本来はゆっくりと時間をかけて体に吸収されるべき栄養分が、必要以上に早く腸に達してしまうという点があります。
◎応援くださっているお客様の中には、このクリームが大変お好きな方もいらっしゃいます。下記のメールをいただきました。
『我が家では、このクリームは奪い合いになります。ずっと以前から食べてみたいと思っていたクロテッドクリームに近いのではと・・・
クロテッドクリームは、バターと生クリームのあいのこみたいなクリームです。イギリスではスコーンに塗って食べるクリームで、日本ではなかなか手に入りませんし、多分手に入るとしても高価なクリームなのだと思います。
以前に、イギリスに住んでいた友人が遊びに来た時、丁度牛乳が届いた日で、飲んでいただいた時にもこのクリームがキャップに付いていて、分離した牛乳を注いだ時に、イギリスであった牛乳と似ていると、そしてその甘みに感動されてました。
なので、このクリームは我が家では美味しい貴重なクリームなのです~♪
牛さん、ありがとう!』
冬は夏に比べて乳量が落ちると聞きました。足りるのでしょうか?
足りない時が出てきます。
自然放牧をしていると、春に妊娠し、冬に出産する形態が自然と多くなります。
冬に生まれた子牛は母牛の乳で厳寒期もすくすくと育ち、ちょうど春を迎えるころに離乳になり、新鮮な春草から食べられるようになります。
冬のお産の約2ヶ月間前からは、「乾乳期(かんにゅうき)」と言い、搾乳をやめ、母牛の体調を整えます。
このためどうしても冬に搾乳をやめる必要が出てくる牛がいるため、冬の牛乳が少なくなります。
乳量の調整に努力していまいりますが、場合によっては、斉藤牧場と同じ形態で小規模で自然放牧をしている提携牧場の牛乳も含まさせていただくことや、本数を変更させていただくことが出てくるかもしれません。
(提携牧場の生乳は斉藤牧場のミルクプラントで牛乳となります。斉藤牧場同様の手法のため味に遜色はありません。)
宜しくご了承いただければ幸いに存じます。
低温殺菌63℃で30分間という方法は、非常に難しいと聞きました。
正しく管理されているのでしょうか。
保健所の認可を受け、正しく行われています。
殺菌のためには「パスチャライザー」という機械を使います。
機械の中のタンクは二重構造になっており、外側の水を加熱することで、内側の生乳を間接的に加熱します。
まず生乳を約63℃まで加熱し、30分間攪拌します。
デジタル温度計で管理しており、細心の注意を払っています。
温度が63℃を超えそうな時は外側のお湯を少しずつ抜いて調節し、常に63℃が保てるよう、注意しています。
このことにより、牛乳本来の風味・良質成分を保持しながら、人に良くない菌のみを殺菌できるようにしています。
◆牛さんについて
斉藤牧場では牛が妊娠中であっても搾乳するのでしょうか?
妊娠中でも搾乳することがあると、先日ある方から聞きました。
妊娠中に乳を出すのは自然界ではあり得ないことだと思うのですが、どうなのでしょうか。
人と同じく、第一子妊娠中は、基本的にはお乳は出てきませんので、搾乳することはありません。
また第二子を妊娠した場合ですが、斉藤牧場の牛の場合は、出産数ヶ月前には自然と出てこなくなり、搾乳はしなくなるとのことです。
人工受精で出産し牛の一生のサイクルがしっかり管理されている牧場では、生まれて約1年2ヶ月~4ヶ月で人工授精をし、10ヶ月の分娩期間を経て出産、約40日後には再び人工授精がなされ、出産後約300日間の間搾乳、その後次の出産に備え約2ヶ月間は搾乳をやめるというサイクルで管理されているようです。
<参考>
・(社)中央酪農会議「乳牛のライフサイクル」より
・当サイト内「牛さんのこと」(斉藤牧場との違い)の頁もご参照いただければ幸いです。
牛さんは草食動物で、本来は草を食べることがよく、トウモロコシ等の穀物飼料は牛さんの体には負担になることが、こちらのサイトでよく分かりました。
草以外にはなにも食べさせていないのでしょうか?
山のところどころに、塩を置いておきます。
草は、カリウムが豊富です。そこでナトリウムである塩をなめ、ミネラルバランスをととのえます。
ストレスのない状態におかれている牛さんたちは、自らバランスをとり、必要に応じ自らなめに行くそうです。
(飲食店の入口に盛り塩が置かれている場合がありますが、その起源は牛車のウシになめさせて、客を呼び込むためだと言われているそうです。)
なお、草食動物である牛さんがたんぱく質である牛乳を出してくれるのは、不思議な気がします。(草にもわずかにたんぱく質が含まれていますが、ごくわずかとのことです。)
その秘密は4つの胃にあります。
1番目の胃の中には、牧草を餌にして消化を助けてくれている、たくさんの菌や微生物がいます。(人間の腸にも善玉菌等のたくさんの菌や微生物が仕事をしてくれているのと同じです。)
4番目の胃で、これらの微生物はすべてたんぱく源として消化吸収されるとのことです。それでたんぱく質豊富な牛乳を出してくれるのですね。
◆自然放牧について
斉藤牧場のように山に牛さんを放ち、そこにある草で牛さんを育て、土や山が守られるという方法はとてもいいと思うのですが、なぜ広まらないのでしょうか?
お褒めいただき誠にありがとうございます。
日本でも今から20年以上前までは、斉藤牧場のように、自然放牧をして酪農をする農家が多くいらっしゃいました。
ところが1987年(昭和62年)に全農と乳業メーカーによる生乳の「乳脂肪率3.5%基準」が導入され、乳脂肪分が基準に満たない生乳の価値が、半分になってしまいました。買い取ってもらうために、ペナルティが課されるという事態も起きたようです。
※生乳(せいにゅう):搾乳されたままの乳のこと。牛乳という商品になる前のもの
自然放牧を行っていると、乳脂肪分がこの基準に満たない季節が出てきます。
春から夏、萌え出た瑞々しい青草をたくさん食べると乳脂肪分は下がります。その代わり、カロチンを多く含んださっぱりとした、風味豊かな味になります。
この基準ができた背景は、前年に乳脂肪分の濃い農協牛乳が大ヒットし、濃い牛乳が消費拡大につながると考えられたことや、輸入穀物飼料等が安くどんどん入ってくるようになったことが要因ではないかと考えられています。
本来は四季を感じることのできる「最高の生乳」のはずでしたが、基準に満たない「最低の生乳」になってしまいました。
常に3.5%を維持するためには、濃厚飼料や乾草を多く与えなければならないようです。
自然放牧を行っていた酪農家は大打撃を受け、やっていけなくなり、多くの酪農家が自然放牧をあきらめなければなりませんでした。
酪農をやめるか、濃厚飼料を与えできるだけエネルギーを使わず牛舎内で飼う「舎飼い」かどちらかを選択する必要に迫られました。
以後、多くの牛さんを飼い、乳脂肪分の高さや1頭あたりの乳量を競い、大量生産をする酪農が主流となりました。牛乳の価格はどんどん下がり、今や安さを競ったスーパーの目玉商品となっています。
牛乳は、牛さんがいて、酪農家が一年間、毎日1日も休まず世話をしてはじめて世に生み出される、大変貴重なものです。そこには生き物の命が介在しており、工場で計算どおりに大量生産できるものではありません。
牛乳の価値が下がり、酪農家も随分傷つきました。
自然や命と共に歩む酪農や農業は、できる限り良いものをつくり皆様にお届けするという努力や工夫は必要ですが、基本的には過当な競争には向かないものなのでしょう。
自然放牧は広まらないのではなく、広めたくても広められない仕組みになっているという方が合っているのかもしれません。
今日本で自然放牧を行い牛乳を製造している牧場はどのくらいあるのですか?
以下の条件を満たしているのは、斉藤牧場のほかに、数牧場と言われています。
いかに難しいことかがわかります。どちらも小~中規模の酪農です。
①牛さんを自然放牧している。
②輸入穀物飼料を使っていない。
③牛乳を低温殺菌している。
「有機(オーガニック)牛乳」と表記してあっても、海外の輸入有機飼料であったり、放牧せず牛舎につなぎ飼いの場合があります。
また「低温殺菌」とあっても輸入穀物飼料を使っていたり、やはり自然放牧をしていない場合があります。
◆価格について
スーパーの牛乳は1本約200円/1リットルです。
1本630円/720ミリリットルは高すぎませんか?
(旭川市とその近郊の配達可能地域は480~530円です。)
実は「斉藤牧場の牛乳」として皆さんにお届けできるようになったのは、それほど前のことではありません。2004年(平成16年)からです。
それまでは他の牛乳と一緒に農協に買い取ってもらい、一箇所に集められ、加工され、スーパー等で売られていました。
酪農家が自分の牧場の牛乳を皆様に直接お届けできるようにするためには、大変な難関があります。独自で保健所の許可を受けた「ミルクプラント」(牛乳工場)を持たなければなりません。
(ミルクプラントでは搾乳した生乳を即冷却して検査をし、熱湯で殺菌、冷却、一日貯乳、充填前の検査、充填、打栓、フタを覆い出荷前の検査、出荷をしています。)
プラントの建設費と製造ラインの整備等々のために一千万円を超える多額の投資が必要となります。一酪農家にとっては、大変大きな投資です。
それでも、
『斉藤牧場で自然放牧されている牛さん達の牛乳が飲みたい。』
と多くの皆様に言っていただき、その声に後押しされる形で、2004年(平成16年)、ついに牛舎とミルクプラントを建設し、『斉藤牧場の牛乳』として皆様に届けできることになりました。
牛乳をお届けできるまでに、上記工場の稼動にかかる費用やビン代・人件費等がどうしてもかかってまいります。今後努力をしてまいりますが、大量生産ではないためどうしても他の牛乳に比べると割高になってしまいます。その点ご理解いただければ大変ありがたく存じます。